20XX年
とある年の夏高校生の高梨空はある山の谷間にある大きな吊り橋に足を運んでいた。
高梨 空「みてよ明智すごいな!!」
高梨 陸少し張り上げえた声を発しながら後ろを振り返ると
明智 陸「あのなあ。俺はお前みたいに簡単に命を捨てるような奴じゃねえんだよ」
高梨 空俺の友達である明智陸は足を細かく震わせながら少しずつ歩いていた
高梨 空「なあ、すこしはしってみようぜ。手持ってやるからよ」
高梨 空俺は明智の手をつかみに小走りに近づくと
明智 陸「バカ。揺らすんじゃない」
高梨 空はぁ。なんで歩けないかな?
高梨 空「ほら、いくよ!!」
明智 陸「うゎぁ。やめろーー!!」
高梨 空そんな馬鹿な会話を挟みつつ150mのつり橋を1時間かけてわたりきった。
高梨 空(半分くらい明智が止まってたせいだけど)
明智 陸「あぁ。もうわたりたくない」
高梨 空「そんな弱音吐くなよ。よかったな、帰るときもう一回渡れるぞ」
明智 陸「…」
高梨 空明智が絶句した
高梨 空あほかこいつ
高梨 空なんでこいつついてきたんだ
高梨 空「とりあえずこの先にある休憩所で一休みするぞ。お前も今は無理だろ」
高梨 空明智は何も言わずにうなずいた。
高梨 空「おおここにいろいろお土産が売ってるぞ」
高梨 空俺たちがついた休憩所には小さな売店があった。飲み物にお弁当、さらにはキーホルダーまで広くはないが品ぞろえはまずまずだった
高梨 空「すごいなここの人たち。どっからこんなにいっぱいな商品運んだんだろ」
高梨 空とりあえず俺たちは腹が減ったので昼食を購入した
高梨 空僕たちが昼食を食べ終わり帰る準備をしていると
明智 陸「雨か。」
高梨 空急に雨が降り始めた
高梨 空「まあしょうがない。ここは山間だから天候が変わりやすいのだろう。少し待ってから帰るとしよう」
高梨 空それから僕たちは雨が降るまで待つ
高梨 空しかし、雨は強くなる一方
高梨 空「あー。雨強くなっちゃたな」
高梨 空雨はやむどころか雨脚をさらに強めていった
店員「おーいそこの人たち。ここはもうちょっとで危ないよ。」
高梨 空売店の店員が僕たちに話しかけてきた
高梨 陸「どうしてですか」
高梨 空僕たちは何が危ないのかがわからなかったので店員に尋ねた
店員「ここの近くに大きな吊り橋があるでしょう。その下に流れている川の上流には大きな滝があるのよ。
強い雨が降ると大量の水が流れ込んで下の川の水かさが多くなるの」
高梨 空「そうなんですね。だとしたら俺たちはどうすればいいんですか?」
店員「此処から30分くらいの場所にある小高い丘に大きな館があるの。私もそこに避難するからあなたたちも来なさい」
高梨 空俺たちは勝手に動くのも危ないと思い、その指示に従った
高梨 空僕たちが館へ向かう途中小さな集落がありその住民も僕たちと同じように避難していった
高梨 空俺たちが館につくなり執事らしき人が話しかけてきた
近藤 仁「いらっしゃいませ。おや、見ない顔ですね」
高梨 空「失礼します。ここの近くにある吊り橋へ観光に来たものです。あっ、名前は高梨空です」
明智 陸「明智 陸です」
近藤
仁「そうでしたか。ではこちらをお持ちになって大広間で待機なさってください。わたくしは子の館で執事を務めさせていただいております。
近藤仁と申します。何か不自由のことがございましたら、何なりとお申し付けください。」
高梨 空というと近藤さんは俺たちにタオルと500㎖の水を手渡し、大広間へ案内した。
高梨
空大広間に着くとそこには30人ほどの老若男女様々な人がいた。みんなこの状況に慣れているのか各々の方法でくつろいでいた。本を読んでいる人。
近所の人らしき人と談笑をする人。ペットの犬と戯れる人。
高梨 空避難先とは思えない空間に驚いてしまった
高梨 空「いやー。てっきり避難所って言ったら誰も話さず殺伐としたようなところを想像してたけど。意外とみんなリラックスできてるな」
明智 陸「そうだな。じゃあ俺はちょっくらこの館を散策してくるからゆっくりしとってくれ。」
高梨 空「はぁ。何を言ってんだ。俺たちはあくまで避難してこの館にお邪魔してるんだぞ。ふらふらその辺を歩いて
ていいわけないだろ」
明智 陸「君がそう思うならここにいたらいい。一人で行ってくるよ」
高梨
空まずい!!こいつは学校でも随一の無礼者だ。一人にさせて子の館の住人とトラブルでも起こされたら
たまったもんじゃない。ここはついていくしかないかな
高梨 空「お前を一人にさせるわけにはいかない。気乗りしないがついていこう」
明智 陸「俺を侮るんじゃない。ひとりで散歩くらいできる。行きたくないのなら来なくてもいいんだぞ」
高梨 空はー。めんどくさ
高梨 空「わかったよ。俺も行きたいからついていかせてください」
明智 陸「あーわかったよ。ついてきな」
高梨 空廊下に出ると数々の絵画が飾られていた。俺には何の絵なのかさっぱりわからなかった
明智 陸「シモン、ニコラ、ウスターシュ。17世紀の絵が多いな」
高梨 空えっなんでわかんの。
高梨 空「お前そんな絵画に興味なんてあったか」
明智 陸「別に興味なんてない。あくまで基礎知識として覚えてるだけだ」
高梨 空お前の基礎知識はどこまでだよ
高梨 空明智は学年でも毎回トップをとるほど賢く、俺たちが通ってる偏差値50弱の高校になんで入学してきたのかがさっぱりわからない
高梨 空そんな絵画の廊下を抜けるとある女性と出会った
元山 真美「あら。どちら様でしょうか」
高梨 空僕は明智にしゃべらせる前に答えた
高梨 空「すみません。僕たちはこの館に避難してきたものです。僕は高梨空。こっちは明智陸です」
元山 真美「そうだったのですね。わたくしは元山真美です。ところでどうしてあなた方はこんなところに?」
高梨 空俺がなんて答えようか迷っていると
明智 陸「少し散策しているだけだ」
高梨 空何を言っているんだ。馬鹿正直に答えても怒られるだけだろう。俺が何とかごまかそうと言い訳を考えていると
元山 真美「そうだったのですね。でしたらわたくしが少し案内して差し上げましょう。ここには面白いものもたくさんあるのでいい暇つぶしにはなるでしょう」
高梨 空えっ。なんで行けた?俺が明智の顔を見るとどや顔で
明智 陸「いったろ。俺を侮るなって」
高梨 空…なんかうざいな
高梨 空そんな会話をしているうちに真美さんが歩き出したので俺たちは慌ててついていった
元山 真美「こちらはわたくしが趣味で集めている仏像の縮小版です。あなた方もご存じであろう牛久大仏や平等院阿弥陀如来像もありますよ」
高梨 空真美さんに案内させた部屋を俺がきょろきょろ見ていると
明智 陸「おっ、これは四天王像ですか」
元山 真美「よくわかりましたね」
高梨 空「おい、なんだよ四天王像って」
高梨 空俺が小声で明智に聞くと
明智
陸「四天王像とは持国天、増長天、広目天、多聞天の三体の神のことを指す。
この神はそれぞれ東西南北を守っていたといわれているんだ。ちなみに四天王像はインドが発祥でその後中国、日本という順に伝わったんだ」
元山 真美「すごいですね。あなた、仏像が趣味なのですか」
高梨 空真美さんが明智に聞くと
明智 陸「いいえ。基礎知識なので」
高梨 空相変わらずうざいな
高梨 空その後は廊下を真美さんと話しながら館を散策した。
高梨
空真美さんの話を聞くに彼女はこの集落の教師で10年前この館主の息子である元山隆二と結婚しこの館に引っ越してきたのだということだ。
あと子供もいるらしい。子供は8歳で小学校3年生。名前は元山光輝らしい
高梨 空その後、急に真美さんが思い出したように
元山 真美「あっ。そういえば避難されてきた方でしたよね。」
高梨 空「そうですが、どうかしたのですか」
元山 真美「おなかはすかれてますか。今夜は炊き出しを行うのでぜひいらしてください」
明智 陸「おおぉ。飯か!!マジでここまで歩いてきたからはらへたんだよな」
高梨 空明智が目を輝かせながら言った
高梨 空真美さんも微笑みながら
元山 真美「私は炊き出しの準備に参りますのでここでおいとましますね。大広間に戻っていてください」
高梨 空そういうと真美さんは足早にその場を去っていった
高梨 空「よし、俺らも戻るか」
明智 陸「ああ」
高梨 空明智も腹が減って元気がないのかおとなしく肯定した。とわいえ俺も先ほどからおなかがすいて仕方がなかった。
高梨 空俺たちが戻ると大広間はさらに多くの人が来ていた
高梨 空俺たちも部屋の隅で時間をつぶすことにした
元山 真美「みなさーん、炊き出しができましたよ」
高梨 空威勢の良い真美さんの声が部屋中に響いた
高梨 空炊き出しで出されたのはカレー。可もなく不可もなく普通の味だ
明智 陸「なんだこれ。不味いな」
高梨 空「こらっ。何を言ってんだ。失礼だろ」
高梨 空唐突に発せられた明智の言葉に俺は驚いた
明智 陸「俺はただ思ったままの感想を言ってるだけだ。」
高梨 空「別に不味くはないだろ」
高梨 空こんな会話をしているうちにカレーを食べ終えた
高梨 空「意外と明智もがっついて食べてたじゃん」
明智 陸「うるせぇ。腹が減ってたんだからしょうがないだろ」
高梨 空「そうかいそうかい」
近藤 仁「それでは皆さんこの館は11時に完全消灯となりますのでそれまでの間ごゆっくりなさってください」
高梨 空執事の近藤さんがこう告げると明智はおもむろに立ち上がった
高梨 空「どこ行くんだよ」
明智 陸「トイレだ」
高梨 空
そう言うと一人で部屋かだ出て行った
あれ。トイレそっちだったかな
高梨 空まあいいや。トイレくらいなら一人で行かせてもいいだろう
高梨 空
そう思い明智が帰ってくるまで待つことにした
しかし明智は30分たっても帰ってこない
高梨 空そう思ったのもつかの間、執事の近藤さんが話かけてきた
近藤 仁「少しよろしいでしょうか」
高梨 空神妙な顔で近藤さんが話しかけてきた
高梨 空「どうしたんですか」
高梨 空近藤さんは俺の質問には答えず部屋の外へと歩き出した。とりあえず俺もあわててついていった
高梨 空近藤さんに案内されたのは二階にある部屋だった
近藤 仁「失礼します」
高梨 空近藤さんが部屋を開けると室内には二人の人がいた
高梨 空一人は30代前半と思われる女性 そしてもう一人は明智
高梨 空「なんでお前がこんなところにいるんだよ」
明智 陸「迷子になってふらついてたら急にこの女がこの部屋から飛び出してきたんだ。そしたらこんなことになってたんだ」
高梨 空明智が指さした先には人が横たわっていた
高梨 空「おい。これ死んでんのか」
明智 陸「ああ。俺が来た時にはもうこの状況だった」
高梨 空横たわっている人がいる横には凶器と思われる血の付いたナイフがおかれてあった
藤田咲「その後わたくしがこの部屋の前にいるこの二人を見かけて話しかけるとこの方が探偵だと申しだすので
このままでは何がどうなっているのかわからないため、お連れのあなたを呼んだのです」
高梨 空なるほど、よくわからん えっ。なんでこの人死んでんの。なんでこの女の人はここにいんの
高梨 空「少しこいつと話してもいいですか」
高梨 空俺は返事を聞かずに明智をこの部屋から引っ張り出した
高梨 空「とりあえず聞きたいことはたくさんあるが、お前はこの事件探偵として解決できそうなのか」
明智 陸「俺を誰だと思ってる。侮るな。すべて丸裸にしてやるよ。とりあえず聞き込みだ。この館に住んでいる人を全員集めてえもらう」
高梨 空「避難してきた人はいいのかよ」
明智 陸「さすがにあんだけの人の話を聞くのは無理だ」
高梨 空まあ合理的といえば合理的か
高梨 空「それじゃあ俺が話をつけてくるよ。お前じゃトラブルになりかけんからな」
高梨 空明智にそう話をつけつと近藤さんにこの館にいる人を集めてもらった
高梨 空10分後この部屋に全員集まった
高梨 空まずはこの館には住んではいない4人
高梨 空遺体の第一発見者である藤田咲さん そして息子の藤田壮馬君
高梨 空あと俺と明智
高梨 空次にこの館に住んでいる人たち
高梨 空執事の近藤さん この館の主だという元山源次郎
高梨 空その息子の元山浩二 先ほどあった元山真美 最後に息子の元山光輝
高梨 空以上8人がここに集まった
高梨 空どうやら殺害されたのは、元山浩二という真美さんの夫らしい
明智 陸「それでは一人ずつ話を聞くので一度源次郎さん以外出てもらってもよいですか」
高梨 空皆よい顔はしなかったが全員に出てもらった
明智 陸「それでは源次郎さん今日の夕方から何をしていたか教えてもらってもよろしいでしょうか」
元山 源次郎「別に特に何をしていたわけではない。光輝と一緒に部屋で遊んでいた」
明智 陸「どこの部屋ですか」
元山 源次郎「この館の三階にある部屋だ」
高梨 空「ありがとうございました。では浩二さんを呼んでもらってもよろしいでしょうか」
高梨 空源次郎さんはゆっくりとした足取りでこの部屋を後にした
高梨 空その後は浩二さん、近藤さん、真美さん、光輝君に目立った行動がないことが分かった
高梨 空次に話を聞いたのは藤田親子だ
明智 陸「どうしてこの部屋の前に」
藤田 咲「特に理由はありません」
高梨 空咲さんは壮馬君の腕を強く握ってそう答えた
明智 陸「元山浩二さんとの接点は」
藤田 咲「ありません」
高梨 空「わかりました。じゃあ壮馬君、お母さんがいなくなったのはいつのことかな」
藤田 壮馬「呼ばれる40分くらい前」
高梨 空「なるほど。ありがとね」
高梨 空明智が出て行った時間と同じくらい。別に怪しくはない
高梨 空その後は部屋に戻ってもらい俺たちと藤田親子にも部屋が与えられた
高梨 空「なあ、お前から見てだれが怪しいと思う。俺にはだれが犯人なのかさっぱりだ」
明智 陸「お前はまだまだだな」
高梨 空やっぱりうざいな
高梨 空それじゃあ俺なりに犯人を考えてみようかな
高梨 空まずは部外者の藤田親子
高梨 空咲さんが部屋を出た時間については怪しいことはない
高梨 空ただあの部屋に向かった動機が怪しすぎる
高梨 空ほかに殺せそうなのは…
高梨 空近藤仁か。あの人ならこの館中を動き回っていたんだから殺すことだって可能だろう
高梨 空ならどうやって殺害したんだろうか。
高梨 空真美さん曰く、浩二さんはかなり神経質な人らしい
高梨 空確かに近藤さんなら警戒されずに部屋に入ることができるだろう
高梨 空ただ動機が分からない
高梨 空動機が分からなければ犯人と決めつけるのは難しいだろう
高梨 空ならば藤田咲はどうだろうか
高梨 空藤田咲の一番怪しいところは“なぜあそこにいたのか”だ
高梨 空本人は特に理由はないと言っていたが、殺していないことを伝えたいのであればもっとましな言い訳を考えたはずだ
高梨 空ただ藤田咲なら明智があの部屋の前に行く前に殺すことは可能だ
高梨 空だが藤田咲と元山浩二の接点がない
高梨 空藤田咲には殺害をする動機がなかったと思う
高梨 空それじゃあ本当に藤田咲は殺してなんかいないのか
高梨 空もう一人考えられる人物がいる
高梨 空元山真美はいろんなところへ行っていたから殺害現場に行っていても不自然ではないだろう
高梨 空動機はわからないが家庭でなんらかの事情があったかもしれない
高梨 空ただどうしてこのタイミングで殺したんだ
高梨 空犯人が限定されるこの館の中ではなく外で殺害すればよいだろう
高梨 空いくら大勢の人がいるといっても矛先が向きやすくなってしまうだろう
高梨 空やはりこの説も不自然なところが多い
高梨 空しょうがない今日はもう遅いし明日明智に聞くか
翌日
高梨 空「おーい。起きろー」
高梨 空あれこいつこんなに起きないっけ
高梨 空「おーい。しっかりしろー」
高梨 空なんで起きないんだ
高梨 空わけがわからなっくなった俺はとりあえず部屋を出た
高梨 空外に出ると藤田咲が不安そうにしていた
高梨 空「どうしたんですか」
藤田 咲「起きないんですよ、壮馬が」
高梨 空「そちらもだったんですか。実はこっちも明智が起きないんですよ」
高梨 空すると元山真美が駆け寄ってきた
元山 真美「今の話聞きましたよ。実はうちの光輝も目を覚まさないの」
高梨 空どうしたんだろ。急に三人も目を覚まさなくなるのは不自然だ
高梨 空普通に考えたら睡眠剤を飲まされたんだろう
高梨 空「壮馬君も光輝君もただただ眠ってるだけって感じですよね」
元山 真美・藤田 咲「ええ」「そうですよ」
高梨 空それじゃあなんでこの三人が睡眠剤を飲まされたのかだ
高梨 空
高梨 空三人には共通点があった
高梨 空ほかの人とは違いこの三人に当てはまること
高梨 空
高梨 空学生ならこの三人は当てはまる
高梨 空いや学生ならこの三人以外にも俺が当てはまるはずだ
高梨 空ならほかの共通点は
高梨 空 =======
高梨 空ほかのだれかとかかわりがあるのか
高梨 空それなら誰とだ
高梨 空とりあえず明智とかかわりがあるのは
高梨 空元山真美と近藤仁だけだ
高梨 空元山光輝ならこの人とかかわりがあるのはわかる
高梨 空藤田壮馬とはどうだ
高梨 空…とりあえず話を聞いてみるか
高梨 空藤田咲に話を聞いた
高梨 空「すみません。藤田壮馬君は元山真美さん近藤仁さんとのかかわりはありましたか」
藤田 咲「近藤さんとのかかわりはありませんでした。 でも、真美さんは実は教師で壮馬の担任なんですよ」
高梨 空なるほどそこのつながりか
高梨 空だとすると元山真美が怪しくなるな
高梨 空「ありがとございました。失礼します」
高梨 空俺は自室に戻った
高梨 空「まだ寝てるか」
高梨 空よほど強い睡眠剤を飲まされたのだろう。明智は寝息を立 て気持ちよさそうに眠っている
高梨 空今回の話から俺は元山真美を容疑者として動かなければならない
高梨 空特に関係はなかったのか。ならどうして眠っているのか
高梨 空どこかに原因があるはずだ
高梨 空部屋の中を見渡すと昨日まではなかったペットボトルがあった
高梨 空もしかしたら昨日のどの乾いた明智が水を取りに行きその水の中に睡眠薬が入っていたのか
高梨 空確かにこの説はあるな
高梨 空そうなると一番怪しくなるのは近藤仁だ
高梨 空近藤仁を第一容疑者として動こうか
高梨 空誰かを目的としているのならほかの二人はカモフラージュだろう
高梨 空じゃあその目的の人物とは誰だ
高梨 空
高梨 空藤田壮馬ならどうだろうだとしたら理由があるはずだ
高梨 空理由…だめだ思いつかない
高梨 空ならこの睡眠剤にはターゲットがいなかったのか…
高梨 空元山光輝ならどうだろうか
高梨 空元山真美、近藤仁と関係もあるし何か知られたくない事情があってもおかしくない
高梨 空それじゃあどっちが犯人だ
高梨 空
高梨 空元山真美なら息子人知られたくないとこがあっても不思議ではない
高梨 空よし。これからは元山真美を容疑者として考えよう
高梨 空近藤仁なら元山光輝に知られたくない情報を持っていてもおかしくないだろう
高梨 空ならば犯人は近藤仁なのか
高梨 空明智を眠らせたかったのか
高梨 空明智は自ら名探偵と名乗っていた
高梨 空ならば犯人には暴かれたくない秘密があったのだろう
高梨 空しかしそれだけでは犯人は特定できない
高梨 空まずいぞ。このままでは犯人の思うがままだ
高梨 空…なら俺が探偵になってやろう
高梨 空俺だって探偵助手としていろんな事件を体験してきた
高梨 空「明智風に言うなら“俺を侮るなよ”だな。俺が暴いてやろう、犯人の秘密を」
高梨 空犯行は無差別的に行われたのか
高梨 空だとすると犯人候補は主に二人だ
高梨 空一人は元山真美。もう一人は近藤仁だ
高梨 空この二人ならスタッフ的な行動をしていたから怪しまれずに飲ますことは可能だろう
高梨 空それじゃあ犯人は…
高梨 空だめだ、スタッフのように動いてくれていた元山真美さんや近藤仁さんの可能性もあればあ水くらいなら誰だってすり替えることも可能だろう
高梨 空結局わからないままか
高梨 空とりあえず外に出るか
高梨 空外に出るとそこには藤田咲と元山真美がいた
高梨 空二人ともすごくそわそわしているように見える
高梨 空けど元山真美が犯人だった場合これは演技なのかもしれないな
高梨 空その後俺は近藤仁に会いに行った
高梨 空「元山源次郎さんはお元気でしたか」
近藤 仁「ええ。お変わりなく」
高梨 空なるほどそっちは大丈夫なのか
高梨 空「わかりました。それでは今起きている方々を集めてもらえますか」
高梨 空俺の要望に応えてくれた近藤仁は全員を集めてくれた
高梨 空「初めに言っておきます。僕は探偵ではありません。なので誤った答えを述べてしまうかもしれません。ですので最終的には皆さんに判断してもらいます。」
高梨 空この空間全体に緊張感が漂っている
高梨 空「俺が考えたのは今回眠らされた三人の共通点です。しかし考えても出てきませんでした。
高梨 空そこで別の考え方“この三人はだれかと関係があるのではないか”と
高梨 空まず元山光輝君は俺と明智以外の全員と面識があります
高梨 空次に明智陸についてです。明智がかかわったのはこの間を一緒に回った元山真美、案内をしてくれた近藤仁
高梨 空最後に藤田壮馬についてです。藤田咲さん曰く壮馬君と近藤さんにはかかわりがなかったそうです
高梨 空しかし真美さんはどうでしょう。真美さんは藤田壮馬君の担任だそうですね
高梨 空ならばこの三人全員とかかわっている人は一人
高梨 空つまり俺は元山真美さん、あなたが犯人だと思います」
高梨 空部屋の中には沈黙が流れた
高梨 空初めに口を開いたのは源次郎さんだった
元山 源次郎「お前は本当にやったのか」
元山 真美「違う!!私はやってない!!」
高梨 空真美さんは声を荒らげた
近藤 仁「しかし怪しい人があなたしかいないことも事実です」
高梨 空近藤さんは俺を肯定してくれた
藤田 咲「私も高梨君の意見に賛成です」
近藤 仁「ならこの館に空いてある部屋に隔離しましょう。そして警察が来たら引き渡しましょう。」
高梨 空近藤さんの指示により真美さんの処遇が決まった
高梨 空真美さんと源次郎さんは 何も言わなかった
高梨 空近藤さんの案内できた部屋は小さな角部屋
近藤 仁「ここを数人で監視しましょう。この館は古いので窓から逃げようとしたら音ですぐに気が付きます。
近藤 仁それでは、初めに私が監視しておくので皆さんはごゆっくりなさってください」
高梨 空そして各自部屋に戻っていった
高梨 空俺が部屋に戻ると明智が目を覚ましていた
明智 陸「おいどこに行ってたんだ」
高梨 空「事件を解決してきた」
明智 陸「…ちなみに誰が犯人だと判断した」
高梨 空「元山真美だ。眠らさせていたやつらの関係から考えた」
明智 陸「まじか、俺眠らされたのかよ」
高梨
空「ああそうだよ。ちなみに真美さんは今小さな部屋に隔離されている。そこを今は近藤さんが監視してくれている。もしかしたら俺たちが美和割をする時がある
かもしれないからいつでも行けるようにしておこう」
明智 陸「ちょっとそこの部屋に行ってみさせてくれ」
高梨 空「ああ分かった」
高梨 空俺は明智が行きたいと言ったから元山真美が監禁されている部屋の前に来た
高梨 空「あれ。近藤さんいないね」
明智 陸「やっぱりか」
高梨 空明智は何かに気が付いているようだった。けど聞いてもまた教えてくれないと思い何も聞かなかった
明智 陸「とりあえず部屋に戻ろう。話はそれからだ」
明智 陸「お前に聞きたい。ズバリ、元山真美の動機は何だ」
高梨 空「それはわからない。けど何らかの夫婦トラブルがあったとかいくらでも理由は考えられる」
明智 陸「そうか。なら聞き込みをするぞ」
高梨 空「はぁ。なんでだよ。犯人はもう捕まえたんだぞ」
明智 陸「お前は本当に捕まえたと思っているのか」
高梨 空そう言われて言葉が出なかった。俺なりにできることはやった。ただ絶対にあっているとは言えない
明智 陸「真実を知りたいならついてこい」
高梨 空「…わかった」
高梨 空俺は明智についていくことしかできなかった
高梨 空明智が最初に訪れたのは元山光輝の部屋
明智 陸「ごめんね光輝君。ちょっと話させてくれるかな」
高梨 空反応はない。無理はないだろう。父が母に殺された。息子である光輝君からしたらあまりにも残酷だろう
明智 陸「しょうがない。次をあたろう」
高梨 空そういわれ次に訪れたのは元山源次郎の部屋だ
高梨 空「すみません。少々お時間よろしいでしょうか」
元山 源次郎「…入れ」
高梨 空少しの間の後室内から返事があった
高梨 空元山源次郎は落ち着いてはいたが、以前のような貫禄のある顔には見えなかった
高梨 空「すみません。元山真美さんと元山浩二さんとの関係について聞きたいのですが。」
元山 源次郎「お前らに話すことはない。もういいだろう、真美が犯人なんだろう」
高梨 空そう厳しい口調で岩荒れた俺は少しおののいてしまった
元山 源次郎「話は以上か。なら帰ってくれ」
高梨 空「…わかりました。失礼します」
高梨 空「結局何も聞き出せなかったか」
明智 陸「そうだな。けど次の奴は簡単に話してくれるだろうよ」
高梨 空「なんでわかるんだよ」
高梨 空それからお互いに何も話さずに小さな部屋の前に来た
近藤 仁「どうかなさいましたか」
明智 陸「お前に聞きたいことがある。元山真美と元山浩二の関係についてだ」
近藤 仁「お二人はよき夫婦のように周りからは見えましたよ」
明智 陸「じゃあなんで殺したんだ。よき夫婦が殺人だなんておかしいだろう」
近藤
仁「わたくしに言われましてもしょうがないでしょう。けど最近夜に怒鳴り声が増えたような気がします。
そのため部屋を一緒の部屋から別々の部屋にしたのですから」
明智 陸「そうかいそうかい。なら元山真美と話させてくれ」
近藤 仁「それはできません。もし逃げられたならどうするんですか」
明智 陸「別に逃げることはないだろう。なぜなら死んでるんだからな」
近藤 仁「何を言ってるんですか。死んでるわけないじゃないですか」
明智 陸「はぁ。空、この壁破壊できるか」
高梨 空「あ、ああ。わかった」
高梨 空俺には何が何だかわかんねえ。けど今は明智にすべて任したかった。俺の推理が間違ってたのかもしれないから
ドン、ドン、ドン
高梨 空この館が古いせいかあと少しで破壊できそうだ。だがその“あと少し”になかなか届かない
明智 陸「おいこれを使え」
高梨 空そういって明智が持ってきたのは30センチほどの銅像だった
高梨 空元山真美が集めていた四天王像というものだろう
高梨 空俺は大きく振りかぶり銅像を建てに大きく振った
ドカーン
高梨 空大きな音とともに扉に穴が開いた
高梨 空そのとたん明智は祖俺ほど大きくない穴をひょいと入っていった
高梨 空部屋の中は本当に牢屋のようで部屋の中に鉄柵があった
明智 陸「だからこの部屋に入れようとしたのか」
高梨 空俺が牢屋の前に来た時には明智は膝をついていた
高梨 空その足元には人が倒れていた
高梨 空誰しもが名前を言わなくてもわかるだろう。元山真美の死体だ
高梨 空「おい。これ」
明智 陸「お前だろ。こいつを殺したのも元山浩二を殺したのも俺を眠らせたのも全部お前の仕業だろ」
高梨 空その刹那近藤仁が走り出し明智の入ってる牢屋の鍵を閉めた
高梨 空その後近藤は走って逃げて行った
高梨 空「明智、大丈夫か」
明智 陸「ああ。それよりもお前はあいつを追え」
高梨 空「わかった」
高梨 空明智に言われた通り近藤を追いかけると
高梨 空各部屋から何の騒ぎなのかわからない人たちがぞろぞろと出てきた
高梨 空結局一つの部屋にみんなが集まった
元山 源次郎「なんの騒ぎなんだ」
高梨 空「こいつが殺したんです。浩二さんと真美さんを」
元山 源次郎「なに、真美も死んでいるのか」
高梨 空「ええ。先ほどの小さな部屋の中で殺されていました」
近藤 仁「何を言っているんだ。俺は殺してなんていないぞ」
高梨 空どうしようか。どうやってこいつの罪を暴く
高梨 空このままではうやむやになったまま逃げられてしまうかもしれない
高梨 空しょうがない。もう一度挑戦してやる
高梨 空「今回の殺人“元山真美殺害”の犯人を近藤さんであることを証明しましょう。
高梨 空まず、この中にいる人を確認します。元山源次郎さん、元山光輝、藤田咲さん、藤田壮馬君、明智陸、そして僕です。
高梨 空そして今回犯行が不可能だった人物がいます
高梨 空
高梨 空元山源次郎さん。あなたには僕たちが会いに行きましたよね。さすがにその間に殺しに行くことは難しいでしょう。
高梨 空そして藤田咲さん。あなたは第一の事件のときに壮馬君が証言してくれたように部屋を出てから犯行までの時間があまりにも足らない
高梨 空さらに子供二人の犯行とは考えずらいでしょう
高梨 空以上のことから近藤仁さんあなたが犯人です。
高梨 空藤田咲さん。あなたは第一の事件のとき壮馬君が“呼ばれる前の40分前にあ母さんが言った”と言ってくれました
高梨 空そして元山源次郎さん。あなたは僕たちが第二の事件のときに僕たちが会いに行きましたよね。さすがにあなたが殺すには時間がなさすぎる
高梨 空さらに子供二人の犯行とは考えずらいでしょう
高梨 空以上のことから近藤仁さんあなたが犯人です
高梨 空まず元山光輝君。君は幼いから無理だと思う」
近藤 仁「そんな理由で判断するのか」
元山 源次郎「さすがにそんな理由なら聞く気にもならんな」
高梨 空あれ。なんでみんな帰っていくんだ
高梨 空まだ真相解明はこれからだろ
近藤 仁「残念だったね。それじゃあ雨も弱まったし俺は逃げるよ」
高梨 空近藤は見た目によらず軽やかな動きで二階の窓から飛び降りた
明智 陸「おい、大丈夫か」
高梨 空どこからか大きな声が聞こえた。思い出した、明智を牢屋に入れっぱなしだった
高梨 空「鍵はどこだ、鍵はどこだ」
高梨 空窓の下に何か光るものがあった
高梨 空そこには手紙とともに一つ鍵がおいてあった
手紙“この事件の真相をお伝えしましょう
手紙まず二人を殺したのは私です
手紙私の動機はただ一つ“復讐”です
手紙一つずつお話ししましょう
手紙まず私にはお付き合いしている方がいました
手紙藤田咲さんです
手紙そして彼の息子である藤田壮馬君はいじめられていました
手紙殺した彼らの息子である元山光輝君にです
手紙しかも元山真美は壮馬君がいじめられている環境を無視し続けました
手紙そのことに私は腹が立ちました
手紙だから私は彼らへの復讐を計画したのです。元山夫妻殺害計画を
手紙一人目の被害者元山浩二については人がたくさん入ってきたタイミングでナイフで刺し殺し殺しました
手紙近くに咲がいて疑われたのは誤算でしたが
手紙続いて元山真美についてです
手紙元山真美も浩二同様ナイフで殺しました
手紙真美は私が犯人なのを知るとあきらめたのか無抵抗に殺されました
手紙殺害が楽だったので助かりましたけど
手紙まあこんな感じで二人を殺害しました
手紙そして元山光輝は…
手紙なかなか殺すことができませんでした。
手紙まだ若い命。間違いは誰にだってある
手紙私が腹を立てていたのはその間違いを正さない親です
手紙だから殺したんだ
手紙探偵の操作が滞るように仕向けたのも私です
手紙探偵が一番目障りでしたので
手紙そのおかげで私のほうが一枚上手だったようですね
手紙それでは探偵さん、ごきげんよう“
高梨 空「なんでなんだよ」
高梨 空いや。わかってるだろ。全部を俺のせいだ。勝手に決断して明智に協力してもらわなかった俺のせいだ
高梨 空俺が犯人をより早く予想できていたら被害者を減らせたのか。
高梨 空もうどうでもいい。全部。全部。全部…
明智 陸「おーい。高梨大丈夫か。早く助けに来い」
高梨 空そうだ。まだ明智がそこにいるんだ。早く助けないと
明智 陸「おい、遅いぞ。死体と一緒にいる身にもなってくれよ」
高梨 空「ああ、悪い。それと事件のほうだけど…
高梨 空逃げられた。全部俺のせいだ」
明智 陸「そうしょい込むな。戦わなければ、勝てない。お前は戦った。だからそれだけで立派だ」
高梨 空その言葉で俺は救われた気がした。世間一般からしたら許されないことをしただろう。けど明智から許しをもらえることが何よりも安心した
高梨 空「ありがとう。ありがとう。ありがとう」
明智 陸「おいおい。泣くなよ。ほら雨も上がったし帰るぞ」
高梨 空「…ああ」
高梨 空一階の大広間に出るともう誰もいなかった
高梨 空もう全部終わったんだ
高梨 空外に出ると日が出ていて甘温かい夏の陽気に様変わり
明智 陸「よし、帰るか」
高梨 空威勢のいい明智の声で駆け出して行った
高梨 空「そういえば吊り橋大丈夫かな」
明智 陸「あっ」
高梨 空思い出したかのようにあっけない明智の声が漏れた
高梨 空まあいいや
元山 源次郎「そうだったのか」
高梨 空源次郎の厳しい声で近藤の肩が震える
高梨 空少しの間が開く。いや少しだっただろうか
高梨 空いくらかの間が開いた後重い空気を破ったのは近藤だった
近藤 仁「ええ。全部私です。二人とも私が殺しました」
藤田 咲「どうして」
高梨 空悲痛な叫びが部屋全体に響く
近藤 仁「あなたたちのためですよ。咲さん、壮馬君
近藤 仁私は壮馬君がいじめられていることを知ってしまった。
近藤 仁光輝君に」
高梨 空急に話題に挙げられた光輝君はうつむいてしまった
近藤 仁「光輝君はまだ子供だ。間違えることは誰にだってある
近藤 仁しかし私が腹を立てたのはあの両親だ
近藤 仁光輝君の間違えを正そうとせずに放っておいた
近藤 仁だから私は計画したんだ“元山夫妻殺人”を
近藤 仁第一の事件殺したのは私。まさか咲が会いに来ていたなんて思わなかった
近藤 仁第二の事件も殺したのは私。諦めがついたようでしたよ、彼女は自分の過ちに気が付いたのならいいのですが
近藤 仁もう私はあがくことができませんもう自首します。好きなようにしてください」
高梨 空「それなら鍵を返してくれ。牢屋のだ」
近藤 仁「そうだったな。あなたのお友達がまだでしたね。どうぞこちらです」
高梨 空近藤からもらった鍵をもってダッシュで明智の元まで向かった
高梨 空「大丈夫か明智」
明智 陸「大丈夫じゃねーよ。死体と一緒にいる身にもなってくれ」
高梨 空「すまなかった。事件のほうは解決した。けど真美さんが死んだのは俺のせいだ」
明智 陸「そうかもな。俺に聞く前に急いだお前にせいだ。反省しろよ」
高梨 空「はぁ。その言い方はないだろう。俺だって自分なりに精いっぱいやったんだぞ」
明智 陸「そうかそうか。まあ“お前なりには“な」
高梨 空「腹立つなー」
明智 陸「事件も解決したところだし帰るか」
高梨 空「ああそうだな
高梨 空あっ。そういえば橋大丈夫かな」
明智 陸「橋…」
高梨 空やばい明智が何かを思い出したかのように固まってしまった
高梨 空「よし、帰るか」
明智 陸「…ああ」
高梨 空そうして俺たちは館を後にした
高梨 空まずは聞き込みからだな
高梨 空けど事件にかかわりのある人たちからの情報は信ぴょう性に欠けるところがある
高梨 空ならあえてこの事件とは距離のある人多阿知から話を聞くか
高梨 空俺は避難者たちがいる一回へと足を運んだ
高梨 空まず話を聞いたのは壮馬君や光輝君と同じらいの年齢であろう子供を連れた親子だ
高梨 空「すみません。藤田咲さんや元山真美さんを知っていますか」
母親「ええ、知っているわよ。この子が彼女らの息子さんと同じクラスですもの。で、それがどうかしたの」
高梨 空「お二人に関係した噂話など何かあればお話ししてくれませんか」
母親「なら一つだけ知っているわ。実は彼女らの息子さんたち、壮馬君と光輝君は実はあまり仲良くないって息子から聞いたんだけど。
母親多分、光輝君が壮馬君をいじめてるんだと思う」
高梨 空なるほど二人には接点があって咲さんが真美さんを恨んでいてもおかしくない。なら夫である浩二さんを殺害してもおかしいことはないだろう
高梨 空藤田咲が犯人の可能性はかなりあるな
高梨 空今度は逆に元山真美が犯人の場合だ。
高梨 空動機として考えることができるのは「夫婦間でのトラブルや食い違い」だろう。子供である光輝君がかかわるようなトラブルだと、殺害まで行ってもおかしくないのだろう
高梨 空全然元山真美が犯人であるという説が否定されたわけじゃないだろう
高梨 空あとは近藤仁だ。けどほかの二人のような接点があるとも思えない。
高梨 空どうしても近藤仁については捜査が滞ってしまうな
高梨 空けど、このまま起こるかわからない次の事件を待っててはだめだ。自ら事件を解決しないと
高梨 空そうして俺は元山源次郎のもとへ足を運んだ。源次郎がこの中で一番事件から離れていると判断したからだ
高梨 空「すみません。近藤仁さんが今に階にいる人の中でトラブルが起こっていないのか、何か聞いていませんか」
元山 源次郎「仁については噂話程度だが下の集落に住むとある母親と付き合っているという噂を真美から聞いたな
元山 源次郎もしかするとあの咲というやつがその母親なのかもしれないな。確証はないが」
高梨 空「仁さんには奥さんはいないのですか」
元山 源次郎「そんな話聞いたこともないな」
高梨 空「そうですか。ありがとうございました」
高梨 空仁さんが犯人の線は藤田咲と付き合っていた場合のみだな
高梨 空確立としては低いだろうが可能性としてはゼロではない。頭の片隅にでも入れておこう
高梨 空俺が部屋に戻っても明智はまだぐっすりと眠っていた
高梨 空今、犯人として説が上がっているのは三人
高梨 空一人目は藤田咲。二人目は元山真美。三人目は近藤仁だ
高梨 空この中で、だれが一番怪しいのだろうか
高梨 空藤田咲の場合明確な動機もあり一番犯人としての可能性が高いだろう
高梨 空それじゃあ藤田咲から話を聞きに行こう
高梨 空俺は藤田咲と壮馬の部屋の前まで来たところでノックを鳴らす
高梨 空すぐに部屋から藤田咲が出てきた
高梨 空「すみません。高梨空です。少しお話を聞いていてもいいですか」
藤田 咲「ああ、大丈夫ですよ。中へお入りください」
高梨 空藤田親子の部屋はとてもきれいに整えられていた
藤田 咲「どうしても気が落ち着かなくてずっと掃除をしてたんです」
高梨 空「なるほど。それじゃあまず一つ、元山家族とのかかわりについて聞かせてください」
高梨 空藤田咲は少し黙った後話し始めた
藤田 咲「実は息子の壮馬が光輝君にいじめられているそうなんです。そのことで真美さんにも相談したんですよ。
藤田 咲けど何も変わらなかった。何度言っても何度言っても
藤田 咲ずっとイライラしてましたよ。けど、壮馬の前ではそんな顔できなかった。楽しそうに学校へ行くあの子の前では…」
高梨 空そこまで言うと一度黙りこんだ
藤田 咲「私は一人であの子を育ててきました。あの子は私のすべてなんです。それなのに…
藤田 咲けど殺そうだなんて思ってない」
高梨 空「じゃあなんであそこにいたんですか」
藤田 咲「それは…」
高梨 空また黙り込んでしまった
高梨 空「それじゃあ失礼します」
高梨 空俺は一度咲さんの部屋から出て自分の部屋に戻った
高梨 空今の話からしてやっぱり怪しく感じてしまう
高梨 空けど本当に犯人が咲さんならあそこまで自分が不利になるような情報を話すのか
高梨 空…次は元山真美から話を聞くか
高梨 空部屋を出るとそこには近藤仁の姿があった
高梨 空話を聞いてみるか
高梨 空「すみません。少しいいですか」
近藤 仁「はい。何かお困りごとですか」
高梨 空「いいえ、一つ質問をさせてください。藤田咲さんとかかわりはありましたか」
近藤 仁「はい。何度かありますよ」
高梨 空「その中で、何かトラブルのようなものはありませんでしたか」
近藤 仁「いいえ。ありませんでしたよ」
高梨 空「。それでは失礼します」
高梨 空本当にかかわりがなかったのかはわからないな。もしかかわりがあったとしてもなかったというだろう
高梨 空もう少し本格的に容疑者リストに入れよう
高梨 空少し歩いて元山真美の部屋の前でノックをすると咲さん同様すぐに出てきた
元山 真美「どうかなさいましたか」
高梨 空「少しお話を聞きたくて。お時間大丈夫でしょうか」
元山 真美「ええ。どうぞこちらへ」
高梨 空真美さんの部屋は生活感あふれる部屋だった
元山 真美「それで話って何ですか」
高梨 空「藤田咲さんとのかかわりについて伺いたくて」
元山 真美「咲さんはうちの担任しているクラスにいる壮馬君の保護者さんですね。かかわりといってもそれくらいですけどね」
高梨 空あくまでもいじめについては話さないつもりか
高梨 空「本当にそれだけですか」
元山 真美「どうかなさいましたか。もしかして私を疑ってらっしゃる」
高梨 空「いいえそんなつもりは。お気を召されたのなら謝ります」
元山 真美「本当にかかわりはそれだけよ。ほかに用がないならお引き取りください」
高梨 空「わかりました。失礼します」
高梨 空少し怪しかったな
高梨 空かたくなに話したくなさそうだったな
高梨 空けどこれで容疑者全員から話を聞くことができた
高梨 空今から真相を皆に話そう
高梨 空そうして俺はみんなを一つの部屋に集めた
高梨 空「今から僕が考えたこの事件の真相をはなします
高梨 空まず今回の事件の犯人は
高梨 空犯人は藤田咲さんあなたですね」
藤田 咲「えっ。私はやってない」
高梨 空「ならなんであなたが事件現場に似たのか話してもらえますか」
元山 真美「話せないならあなたが疑われてもしょうがないわよね」
高梨 空真美さんが咲さんを責めるが源次郎さんと仁さんは何も言わなかった
元山 真美「この館には隔離できる部屋があったわよね。警察が来るまでそこに入れておくべきよ」
近藤 仁「わかりました。ではそちらへ案内します。こちらへ」
高梨 空仁さんの案内で咲さんが連れていかれた
元山 真美「これで事件は解決しなのよね」
高梨 空「おそらくは」
元山 源次郎「それじゃあ警察が来るのを待つとしよう」
高梨 空それから各々の時間を過ごした。明智も目を覚ましたが
高梨 空その時事件について話したが明智は何も言わなかった
明智 陸「おっ、警察が来たか」
高梨 空「それじゃあ行こうか」
高梨 空俺たちは咲さんがいる部屋に行った。そこには真美さんがいた
元山 真美「ねえ、咲さんと仁さんがどこに行ったか知ってる」
高梨 空「えっ、仁さんはともかく咲さんはこの部屋にいるんじゃないんですか」
元山 真美「それが仁さん、咲さん、壮馬君がいないのよ。どこにも」
警察「すみません。こちらはなんですかね。手紙のようなもののようですが。内容はこの通りです
手紙"今回の事件の真相についてお話します
手紙まず、犯人は私です
手紙今回咲が疑われたようにあそこにいたのは私に会いに来ていたからです
手紙私の動機はただ一つ「復讐」です
手紙私は壮馬君が光輝君にいじめられている状況に耐えることができなかった
手紙けど私が向けた怒りの矛先は夫婦へです
手紙こどもの過ちを正そうとせずいじめを助長しようとした
手紙だから私はしょうがなかったんです。過ちを正すには
手紙私たちは一足先にこの館から出させてもらいました
手紙皆さんお元気で。さようなら“
高梨 空「嘘だろ。間違えてたのか」
明智 陸「お前は悪くない。全部俺が寝すぎていたのが原因だ」
高梨 空「違う、違う、違う俺のせいだ」
明智 陸「…気にするな。もう終わったんだ」
高梨 空その後俺たちは警察から事情を聴かれた後この館を後にした
高梨 空まだあの3人の行方は分かっていない
高梨 空犯人はあなたですね、元山真美さん」
元山 真美「どうして?私はやってない。やったとして私の動機は何なのよ」
高梨 空「動機なら家内のトラブルや夫婦仲の悪化などいろいろあるでしょう」
元山 真美「そんな適当な推理で私を犯人にするわけ」
高梨 空反論することができない
高梨 空だがもう後には引くことができない
高梨 空「それじゃあ皆さんに判断をゆだねます。私の推理な賛成する人は挙手をお願いします」
高梨 空手を挙げたのは近藤仁と藤田咲の二人だ。源次郎さんは手を挙げてはいなかった
高梨 空「2対1ですね。近藤さん、この館にこの方を隔離できる場所はありませんか」
近藤 仁「この階の端の部屋にありますよ。それでは私がそこへ連れていきましょう。真美さんついてきてください」
高梨 空その後源次郎さんは部屋に戻り俺も部屋に戻った
明智 陸「おぉ、帰ってきたのか」
高梨 空「なんだ。起きてたのか」
明智 陸「いやー、寝すぎちゃったな。それで外でなんかあったのか」
高梨 空「あの事件の犯人が真美さんってことのなった」
明智 陸「…そうか。なら一応その部屋に行こうか」
高梨 空そうして部屋の前に行きドアを開けようとしてドアノブに手をかた
高梨 空「鍵を閉められているのか。鍵を持っているのは近藤さんだろうな」
明智 陸「もう近藤さんはこの館にいないだろうな」
高梨 空「えっ、なんでだよ」
明智 陸「近藤仁が犯人だったからだ」
高梨 空それから俺は館中を探し回った
高梨 空「いない。なんでいないんだ。近藤さんは明智が言ってた通りなんだろう。
高梨 空でもなんで藤田親子もいないんだ」
高梨 空その時聞き込みをした時のことを思い出した
高梨 空「ああ、あの二人が付き合ってたって本当だったんだ」
高梨 空これですべての辻褄が合った
高梨 空近藤さんの部屋の前に来た時に一つ、鍵と紙がおいてあった
高梨 空「おい明智なんかあったぞ」
明智 陸「この鍵は牢屋のカギだろうな。で、この紙にはなんて書いてあった」
高梨 空「“お騒がせしました。さようなら。犯人は私です。近藤仁”って書いてあった」
明智 陸「やっぱりそうだったか。とりあえずこの鍵で牢屋を開けるぞ」
高梨 空駆け足で進みだす明智に急いでついていく
高梨 空ドアを開けるとそこには床に座っている真美さんの姿があった
高梨 空「大丈夫ですか。真美さん」
高梨 空真美さんはとてもうつろな目をしてことらを向いていた
元山 真美「もう大丈夫よ。けどこの事件少なくとも私にも原因はあったもの。それ相応の罰は受けたわ」
高梨 空俺は何も言うことができなかった。彼女とこの事件の関係を知ってしまったから、無責任に“そんなことないです”とはいうことができなかった
元山 真美「あなたがたも疲れたでしょう。どうせ警察が来るまでもう少し時間があるでしょうから部屋で休んでなさい」
高梨 空「お気遣い感謝します。それでは失礼します」
高梨 空その後は元山真美やこの町の住民の協力により三人を見つけ出すことができた
高梨 空俺たちにはこの後のことについてはかかわる資格がなかった
高梨 空俺たちにできることはあの二人の子供の関係がよくなることを願うくらいだろう
高梨 空俺たちにできることはあの二人の子供の関係がよくなることを願うくらいだろう
高梨 空犯人はあなたですね、近藤仁さん」
高梨 空部屋に静寂が巡る。その静寂を破ったのは元山源次郎だった
元山 源次郎「それは本当なのか、仁」
近藤 仁「…ええそうですよ」
元山 真美「どうしてこんなことしたの」
高梨 空真美さんの悲痛な声が部屋中に響く
近藤 仁「あなた方のせいですよ。気づいてないんですか」
元山 真美「何のこと?」
近藤 仁「一から正直に話しますよ。まず私は藤田咲さんとお付き合いしています
近藤 仁そんななか、あなたの息子さんである光輝君に咲さんの息子である壮馬君がいじめられていることを知ってしまいました
近藤 仁そこで私には怒りがこみ上げてきました、あなた方両親に
近藤 仁息子の過ちを正そうとせず、無視をしている。それは加担しているも同然
近藤 仁だから計画したんですよ、“元山夫婦殺害計画”を
近藤 仁最初に浩二さんを殺したときに咲が私に会いに来ていたのは予想外でしたが
近藤 仁本当は真美さんも殺そうとしいていましたよ
近藤 仁けど、偶然にも探偵一行がこの館で事件を解決してしまったので破綻してしまいましたが」
元山 真美「そう…だったのね」
近藤 仁「最後に私の願いを聞いてくれませんか。どうか咲を疑わないでやってください。本当に私が一人で起こした事件です
近藤 仁私は警察が来るまで動きません。どうぞ残りの時間をごゆっくり」
高梨 空その後は各々気の休めることのできない時間を過ごした
明智 陸「いやー。まさかお前が解決すると思わんかったは」
高梨 空「いや、俺だってそのくらいできるし」
明智 陸「そうかいそうかい」
高梨 空「そういえば橋どうだったかな」
明智 陸「橋…」
高梨 空「よし帰ろう」
高梨 空俺は絶望する明智を無視して足早に駆け出した
高梨 空外に出ると焦っている光輝君がいた。よかった目を覚ましたようだ
高梨 空「どうしたの」
元山 光輝「いないんだよ。お母さんが」
高梨 空「いつからいなくなったの」
元山 光輝「僕が目を覚ましてからだよ」
高梨 空「よし、手分けして探そうか」
高梨 空しかし、30分一緒に探したところでもまだ見つかっていない
高梨 空途中目を覚ました明智と一緒に探してもいた
高梨 空しかし一つだけ不可解な部屋を見つけた
明智 陸「おい、これなんだと思う」
高梨 空「さあな、近藤さんに聞いてみるか」
高梨 空俺たちは近藤さんを見つけあの部屋のことについて聞いた
明智 陸「すみません近藤さん。二階にある端の部屋なんですけど、あそこってなんの部屋なんですか。鍵がかかっていたのですが」
近藤 仁「ああ、それはいわゆる牢屋です。昔は軽い犯罪をしていたものを収監していたようですが
近藤 仁今では光輝君が怒られたときに少し入れられるくらいです」
明智 陸「そうですか。すみませんがその部屋の鍵を開けていただけませんか」
近藤 仁「…いいですよ」
明智 陸「ありがとうございます」
高梨 空俺たちは近藤さんに連れられて部屋の前まで来た
高梨 空「なかなかあかないですね」
近藤 仁「そうですね。この部屋はあまり出入りがないのですぐに開けにくくなるんですよ」
高梨 空「そうなんですね」
ガチャリ
近藤 仁「開きました。どうぞ中へ。私はこのあたりで」
明智 陸「失礼します」
高梨 空中はかなり強烈なにおいがした
明智 陸「おい、何だこのにおい。ほこりとかのにおいじゃないぞ」
高梨 空「動物の血のような…」
明智 陸「おいこれ見ろ」
高梨 空「俺は光輝君を抑えとくから調べといてくれ」
明智 陸「わかった。気をつけろよ」
高梨 空俺は光輝君のところへ行き急いで部屋に戻した
元山 光輝「なんで行っちゃだめなの」
高梨 空「しょうがないんだ。我慢してくれ」
元山 光輝「わかった」
高梨 空「ごめんね。落ち着いたらすぐに来るから」
高梨 空俺は明智がいる部屋に戻った
高梨 空「なにかわかったか」
明智 陸「真美さんはなくなってから30分くらいたっているだろ」
高梨 空「そうなのか。犯人は予想できるか」
明智 陸「ああ。おそらく近藤だろうな」
高梨 空「なんでだよ。殺害できるのはまだいるぞ。咲さんに源次郎さん、一般人にもできないことはないだろう」
明智 陸「理由は一つ、動機だ
明智 陸咲さん、ほかの一般人には殺すメリットがなさすぎる
明智 陸さらに源次郎さんには息子夫婦を殺すメリットがないだろう
明智 陸さらに、近藤さんはこの部屋を開けるとき少しためらったろ」
高梨 空「確かにそうだな。でもどうするんだ、これから事件の真相を話しに行くのか」
明智 陸「そうだな、けど信じてもらえるかはわからない。もし源次郎さんが近藤さんに情けをかけたら一気に形勢は傾く慎重にいこう」
高梨 空俺たちは子供(光輝君と壮馬君)以外を一つの部屋に集めた
明智 陸「晴れない霧がないように、解けない謎もいつかは解ける。解いて見せましょうこの謎を。さあ、真相解明の時間です
明智 陸率直に申し上げます。犯人はあなたですよね、近藤仁さん」
近藤 仁「何のことでしょう。私は咲さんと一緒にかなりの時間いましたよ」
明智 陸「本当ですか。咲さん」
藤田 咲「ええ。少しこの後のことについてお話していました」
元山 源次郎「本当に仁が犯人なのか」
明智 陸「私が考えたのは動機についてです。今回事件を起こすかのせいがあるのは4人
明智 陸近藤仁、藤田咲、元山源次郎、そして僕たち明智と高梨です
明智 陸まずはさすがにこの町に初めて来た僕たちが二人を殺害する可能性は低いでしょう
明智 陸そして元山源次郎さん、あなたが息子夫婦を殺害する可能性も低いでしょう
明智 陸最後に藤田咲さんと近藤仁さんのどちらのほうが殺害する可能性が高いのかを考えたとき藤田さんのほうが殺害された二人との関係が薄いことから
明智 陸近藤さん、あなたが犯人ですね。何か反論はありませんか」
高梨 空明智が一気にしゃべったあと、いくらかの沈黙があったあとしゃべりだしたのは源次郎だった
元山 源次郎「本当なのか仁。本当のことを話してくれ。犯人はお前なのか」
近藤 仁「わかりました。いやーまさか簡単に言暴かれちゃうとは。一つずつ話していきますね
近藤 仁まずは浩二さんを殺したことについてです
近藤 仁あの時一気に避難者がこの館に来た時“殺すなら人が多いこのタイミングしかない”と思ったんです
近藤 仁そして浩二さんを刺し殺しました
近藤 仁あの時咲さんが来て疑われたのは誤算でしたが
近藤 仁次に真美さんを殺したことについてです
近藤 仁浩二さんを殺しても私が犯人であるということがばれなかったので目的の人物の二人目である真美さんの殺害へと踏み込みました
近藤 仁一応、私なりの配慮で光輝君が見ることのないようなところで殺害しました
近藤 仁そして最後に動機についてです
近藤 仁私の動機はただ一つ“復讐”です。元山夫婦への
近藤 仁理由は光輝君が壮馬君に行っていたいじめです
近藤 仁実は咲さんと私は付き合っていたんですよ
近藤 仁そんな中光輝君に壮馬君がいじめられていることを知ってしまったんです
近藤 仁そこで私の怒りの矛先が向いたのは両親へです
近藤 仁光輝君はまだ幼いので間違うことはあります。
近藤 仁けどあの両親は彼の過ちを正そうとせずに無視をし続けた
近藤 仁真美さんに関しては教員という立場の中で教育を怠ったも同然
近藤 仁それじゃあ、いじめに加担しているようなものですよ
近藤 仁だから私はこの事件を起こしたのです」
高梨 空息の詰まるような近藤さんの話を聞き、誰も口を出すことができなかった
高梨 空数十秒、いや数分だったかもしれない
高梨 空いくらかの時間がたった後口を開いたのは近藤だった
近藤 仁「私の処遇は任せますよ。きっともうすぐ警察が来るでしょうから」
明智 陸「どうしますか源次郎さん。あなたに任せますよ」
元山 源次郎「私はここに残ろう。藤田さんそしてあなたたちは各々の部屋で時間をつぶしておいてくれ」
明智 陸「わかりました。あとはお任せします」
高梨 空源次郎さんの提案どおり、俺たちは部屋へと戻った
高梨 空「お前はあそこまでのことを予想していたのか」
明智 陸「いいや、かなり予想外な部分もあった。まさかそんなことがあったなんてな」
高梨 空俺たちは部屋であまり弾まない会話をした後、到着した警察の事情聴取を受けた
高梨 空結局近藤さんは逮捕され、この事件の幕が閉じた
高梨 空俺にはこれからの若き二人の成長を望むしかないのだ